Google Cloud Platform (GCP) には、一定量のコンピューティング エンジン リソースを 1年間または 3年間使用する契約を結ぶことで割引価格が適用される割引プランがあります。
この記事では GCP の確約利用割引についてまとめております。
確約利用割引について
Google Cloud Platform (GCP) の特定のプロダクト/サービスには、一定期間 利用を確約 (コミットメント) することで通常よりも大幅に割引料金が適用されるプラン「確約利用割引」があります。
確約利用割引は英語で Committed Use Discounts と言います。略称され CUD とサイト上では表記されています。
この確約利用割引は、1年以上 安定したリソース量を使用する/支払いを続けるケースに適しています。
ステータスが開発から運用に移行しているビジネスやサービスは、特定のリソースを使い続けることが確約しているため、確約利用割引を利用することで運用コストを抑えることができます。また、確約したリソースを超えた分は、自動的に継続利用割引の対象になります。
支払いは、前払い不要で月額払いになります。
一定期間の契約になっているため、途中で解約および支払いを停止することができません。、期間の月額料金が毎月請求され、サービスを使用するかどうかにかかわらず料金を支払うことになります。そのため、開始する際には最小限のリソース量または最小金額から利用することをおすすめします。
利用条件
確約利用割引は次に条件で利用することができます。
- 1年間 または 3年間のコミットメント期間
- リージョンでコミットメント
- 費用ベースまたはリソースベースのコミットメント
- 支払いは毎月 (前払いなし)
- 途中解約ができない
コミットメントの種類
コミットする形式は どちらかを選ぶことになります。
コミットメント | 概要 | 対象プロダクト/サービス |
---|---|---|
費用ベース | 使用量の費用を確約することで割引が適用 | Cloud SQL Cloud Spanner Google Cloud VMware Engine Cloud Run Google Kubernetes Engine(Autopilot) Compute Engine |
リソースベース | リソース量を確約することで割引が適用 | Compute Engine |
割引率
プロダクト | 1年間の確約 | 3年間の確約 |
---|---|---|
Cloud SQL | 最大 25% 割引 | 最大 52% 割引 |
Cloud Spanner | 最大 20% 割引 | 最大 40% 割引 |
VMware Engine | 月払い:最大 24.4% 割引 一括払い:最大 30% 割引 | 月払い:最大 42.5% 割引 一括払い:最大 50% 割引 |
Cloud Run | 最大 17% 割引 | 最大 17% 割引 |
GKE (Autopilot) | 最大 20% 割引 | 最大 45% 割引 |
Compute Engine | 最大 28% 割引 | 最大 46% 割引 |
割引の共有について
費用ベースとリソースベースのコミットメントでは購入元が異なっており、確約利用割引の適用範囲が違います。
コミットメント ベース | 購入元 | 適用先 |
---|---|---|
費用ベース | Cloud 請求先アカウント | リンクしている全プロジェクト |
リソースベース | プロジェクト | 購入したプロジェクトのみ |
費用ベースのコミットメントは、請求先アカウントから購入します。その請求先アカウントにリンクしているすべてのプロジェクトに適用されます。
リソースベースのコミットメントは、プロジェクトごとで購入になります。プロジェクト内のみに適用されます。
確約利用割引の共有を有効することでリソースベースでも請求先アカウントで支払っているすべてのプロジェクトに適用することができます。
リソースベースのコミットメントについて
リソースベースのコミットメントは、vCPU、メモリ、GPU、ディスクなどに対してそれぞれ確約利用割引を購入できます。
適用できるプロダクトは、GCE のみです。
利用する前に
確約利用割引は、途中解約できない割引プランです。
数日間、利用していると GCP が推奨するコミットメント プランが作成され、内容を確認することができます。
この推奨プランをもとにコミットメントを始めても遅くはありません。
この推奨プランは、Recommender によって過去 30 日間の使用状況に基づいて自動的にリソースコストの最適化されたプランです。
頻繁にリソース状況が変わる環境であれば、その 30日の最低限率用なリソースから使用することをおすすめします。
Google Cloud コンソールのホーム画面上にある [推奨事項] から閲覧することができます。
下の図では GCE で E2 異なるマシンタイプを 3台動かしていた時に「コア:1 VCPU」「メモリ:4 GB」が最適と表示されました。
割り当て上限を引き上げる
GCP では設定ミスによる過度な使用や予期しない課金を防ぐために、リージョンやプロジェクトごとに使用できるリソースの割り当て量 (Quota) が事前に抑制されています。
割り当ての増加リクエストを行うことでリソース量の上限を拡大することができます。
始めて確約利用割引を購入する際に次のようなエラーメッセージで表示されます。
例えば、東京リージョン (asia-northeast1) で E2 1コアの確約利用割引を始めて行う際には次のようなエラーメッセージが表示されます。
Operation type [insert] failed with message "Quota 'COMMITTED_CPUS' exceeded. Limit: 0.0 in region asia-northeast1."
直訳すると「asia-northeast1 での CPU 割り当て名:Quota ‘COMMITTED_CPUS の上限を超えています。」です。
申請手順
- 割り当て上限を引き上げるために、
Google Cloud コンソールの左ナビゲーションから [IAM と管理 > 割り当て] に移動します。 - フィルターに割り当て名「Commitments」と利用するリージョンを入力し、フィルタリングします。
- 対象の割り当ての左側にあるチェックボックスをオンにします。
- 右上部にある [割り当てを編集] をクリックします。
- 新しい上限数と引き上げる理由を記入し、[次へ] をクリックします。
- 連絡先を記入して [リクエストを送信] をクリックします。
- リクエスト承認のメールが届くと割り当て上限数が変更されます。
上部にある [リクエストの増加] タブをクリックして引き上げられた上限数を確認します。
もう一度、確約利用割引の購入を行うとエラーは表示されずに購入できます。
購入したコミットメントはコミットメント リストで確認することができます。
気になるアレコレ (FAQ)
対象となる使用量に 1 時間ごとに適用されます。
確約利用割引の対象とならないリソースは自動的に継続利用割引の対象となります。
同じリソースに対して確約利用割引と継続利用割引を組み合わせることはできません。
期間の間、月額料金で請求されます。
プロジェクト オーナー (roles/owner) や請求先アカウント管理者 (roles/billing.admin) のみ、購入および管理することができます。
表示のみを行うには請求先アカウント閲覧者 (roles/billing.viewer) ロールを割り当てることで閲覧することができます。
いいえ、できません。確約利用割引はリージョンでのコミットメントになります。
大阪リージョン、東京リージョンごとにコミットメント契約することになります。
参照記事
- 確約利用割引 | ドキュメント | Google Cloud
- 柔軟な確約利用割引 – Compute Engine インスタンスを割引するシンプルで新しい方法 | Google Cloud 公式ブログ
- 新しい確約利用割引で Cloud Spanner のコストを最大限に削減 | Google Cloud 公式ブログ
- 割り当てと上限 | Compute Engine ドキュメント | Google Cloud
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